ク・ナウカ『マクベス』  あらすじ⇒

 シェイクスピアの悲劇中もっとも緊密な構成とスピーディな展開を持つ傑作を大胆な解釈で読み解くク・ナウカの異色作、待望の東京初演!

 マクベスを破滅に誘い込んだ魔女たちとはいったい何の比喩なのか? マクベスは何から復讐されたのか?
 「男らしさ」の幻想を振りかざすマクベス夫人をマクベス自身の心が生んだ分身と見なし、また「魔女」を生まれることなく流された赤子と見なす。さらにマクベス以外 をすべて女優が演じる、挑発的なステージ。
 「森が動いたときマクベスは滅ぶ。女から生まれない人間がマクベスを滅ぼす」…自然と生命への冒涜がマクベスを滅ぼす、それはまさにいま目の前にある世界。

 ク・ナウカが容赦なく描き出す、神無き時代の『マクベス』。

 利賀フェスティバルで2年連続上演され、斬新な演出と俳優の演技が絶賛されたク・ナウカ〈幻の傑作〉、フランスで1週間にわたる公演を経て遂に東京初演を迎えます!

■問い合せ=TEL.03-3779-7653(ク・ナウカ)              ⇒公演概要


ク・ナウカプロフィール

 1990年、演出家宮城聰を中心に美加理、阿部一徳、吉植荘一郎らにより結成。一つの役を〈語る〉俳優と〈動く〉俳優の"二人一役"で演じる独自の方法をもちいて古今東西の戯曲を上演し、国内外で高い評価を得ている。代表作に『サロメ』『天守物語』『熱帯樹』『王女メデイア』『欲望という名の電車』など。『マハーバーラタ』で第三回朝日舞台芸術賞受賞。


ク・ナウカの「マクベス」

 『マクベス』は言葉の魔力の劇である。また、男に及ぼす女の力の劇でもある。宮城聡はそれを洞察している。
 『マクベス』では、ある人物の中で生まれた言葉が浮遊し、舞い、別の人物に取り憑く。そこで魔力が発揮される。言葉が人を動かすのだ。発語を担う者と動きを担う者を分けるク・ナウカ方式がそれを鮮烈に具現する。
 それと相俟って、クロス・ジェンダーのキャスティングが男に及ぼす女の力を目の当たりにさせてくれる。美しい舞台である。無数の風ぐるまの中を行き来する黒紋付は、この劇の鍵語のひとつである不穏な「風」そのものにも見えてくる。(松岡和子)

松岡和子プロフィール
 演劇評論家・翻訳家。日本シェイクスピア協会会員、国際演劇評論家協会会員。
 著書に『すべての季節のシェイクスピア』(筑摩書房)、『シェイクスピア「もの」語り』、訳書に『ガラスの動物園』(劇書房)など多数。96年からシェイクスピアの劇作全37作品の新訳に取り組み、その新訳による蜷川幸雄氏演出の上演が話題を呼んでいる。ちくま文庫より、シェイクスピア全集として刊行中。既刊は『ハムレット』『マクベス』『夏の夜の夢・間違いの喜劇』『リア王』『ロミオとジュリエット』『十二夜』『リチャード三世』『テンペスト』『ウィンザーの陽気な女房たち』『ヴェニスの商人』『ペリクリーズ』。















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