「BONUS TRACK」2021年度グッドデザイン・ベスト100

 
 
「BONUS TRACK」▲世田谷区代田2-36-15外の地に木造2階建5棟、延床面積約900㎡の建物。 飲食、物販、サービス、事務所、店舗兼用住宅:14店舗。

 「下北線路街」に2020年4月開業した「個人の商いを応援する長屋『BONUS TRACK』」が10月20 日、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン・ベスト100」を受賞しました。
            (下北線路街ニュース2012年10月20日号)

<審査委員の評価コメント>
下北沢地域の小田急線の地下化によって生まれた線路跡地を利用して生まれた商業施設群。通常であれば、一塊の大規模な商業施設となるところであるが、これを下北沢らしい細々とした戸建て住宅ボリュームへと分割し、ヒューマンスケールに近い商店群として実現している。この小規模ボリュームへの分割の手法は景観的な地域との連続性だけでなく、オーナーや来訪者の環境づくりへの参画可能性を高めているところに、下北沢らしいボトムアップの都市開発としての意味がある。素人でも手出しが可能そうな小さなスケールであることに加えて、在来木造ならではの構法的な変更の容易さも併せることで、個々人の参与によって生活環境が変化していく「生きた街のプロセス」をハードな仕掛けとして仕組んでいるのである。建築家は運営にも関与しており、ハード・ソフトの両面から街づくりに主体的に関わっている。新しい建築家の職能を拓くものとして高く評価した。

 「BONUS TRACK」は、新たなチャレンジや個人の商いを応援する場として開業、実際に多くの個人店が営業している。
 食や本、音楽などシモキタらしいテーマを基にしたイベントや展示会、季節を感じられる地域のお祭り等も開催。

 また、EC の台頭や新型コロナウイルスへの対応で、「お店のあり方の転換」や、店づくりの「創業支援」を行うオンラインスクール「お店の学校」もオープン。新規出店から既存店舗の改良などのコンサルティングも行っている。

 いずれは「BONUS TRACK」で育った店がシモキタの街中に旅立ち、次の世代が「BONUS TRACK」でチャレンジする、といった地域連携の「店舗循環」の構築を目指している。

同日、「下北線路街」で開業中の温泉旅館「由縁別邸 代田」(世田谷区代田2-31-26:右写真)が「2021年度グッドデザイン・ベスト100」を受賞しました。
 

 <審査委員の評価コメント>
 線路跡地において乗降客数が少なく商業立地価値としては難しい立地であるという課題に対し、宿泊をしてもしなくても「旅館滞在の楽しみ」を体験できる施設として企画された複合施設。線路上開発ゆえの荷重制限を逆手に取った低層建物を緑道を中心とした分散配置は、住宅地に良好なまちなみを生み出しており、客室空間は都市型宿泊施設らしいコンパクトな空間でありながらも庭や緑をうまく取り込み旅館的な風情と快適さが同居する設計となっている。 一般的に「旅館滞在」というと非日常体験として語られるが、ここでは「日常生活の延長としての旅館」として立地に適応した企画に再編することで、食事と温浴施設の日帰り利用や記念日のお祝いなどでの一時利用の比率を高く設定し、活用の枠を広げた旅館運営がなされており宿泊客だけでなく、地域の住民にも愛される施設になっている。鉄道会社による沿線開発として将来の街の価値向上につながる計画を目指す視点や、企画設計運営一体となって秀逸に体験がデザインされた開発が今後も継続的になされていくことへの期待もこめて評価した。
















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