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「時代が変わる アニメが変わる
~アニメ・絵本の世界とジェンダー~」
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男女共同参画情報誌「すくらむ」2014年6月号 |
今年度のアニメーション映画『アナと雪の女王』が大ヒットし各方面で話題となっている。
川崎市男女平等推進行動計画に基づいて情報提供などの事業展開している男女共同参画情報誌「すくらむ」でも、「時代が変わる アニメが変わる~アニメ・絵本の世界とジェンダー~」とのタイトルでこれをとりあげ、従来のアニメや絵本の中ではいわゆる「シンデレラ・コンプレックス」のステレオタイプ的に描かれがちな女性ヒロインの姿が『アナと雪の女王』ではみられず、新しい姿を描きだしたと評している。
シンデレラコンプレックスについては
「女性が他人に人生の幸福や方向をゆだね、自分の力で人生を切り開くことに不安を覚える心理的傾向」
「多くのお姫様物語ではヒロインは無力で受け身の女性として描かれてきた」
と説明。これまでの作品の中で描かれてきたストーリーやキャラクターは、興行成績という意味でも多大な影響力を持つ「ディズニー映画で描かれるようなプリンセス」のイメージ、「綺麗で美しく、あるいは可愛らしく、素敵な男性と恋に落ち、結婚して幸せになる」という、ヒロインの姿が圧倒的に多かった。それが、決して受け身でなく、弱く(男性によって一方的に)守られるばかりでない二人の女性ヒロインが登場する『アナと雪の女王』が製作されたことには大きな意義があると述べている。
このシンデレラ・コンプレックス以外のアニメ・絵本全般の特徴として
「女の子の登場人物、特に主役が少ない」
「現実世界よりステレオタイプな女らしさ/男らしさを描く傾向が強い」
「性別役割分担を肯定するストーリーやイラストが多い」、
そして、多くのこども向けメディアが男の子が主役で、従来ほどステレオタイプでなくとも男の子が女の子を助けるストーリーがたくさんみられ、しっかり者の女の子が主人公であることは少ない、という点についてはいささか疑問を感じさせる。
まっ先に浮かんだのがいま女の子の間で絶大な人気を誇る『プリキュア』だった。
プリキュアはほぼ女の子「だけ」が主人公であり、キックやパンチで悪と戦い、時に友人の男の子を助け、到底お姫様的な物語ではない。2004年スタートで、シリーズ化して10年以上続いているうえ、大ブームになっていたのは女の子が悪へと立ち向かう『美少女戦士セーラームーン』(こちらは1992年スタート。時代・設定的に、プリキュアに比べると少々お姫様要素はあるかもしれない)であった。
このような美少女戦隊ものはアニメの中でもひとつのジャンルとして成立し、ある程度の歴史も追うことができる。こういったプリキュアのような作品には前述のような特徴は見出せていないと感じる。
アニメーション全体として「従来のジェンダー観を克服する作品は増えてきている」と述べてはいるものの、例にあげられているのは、やはり「お姫様物語」などの20年前ほどの絵本作品のみで、若干頼りない印象だ。
だが、“男女という性別に関わらず持つ個性を尊重し、発揮しながら生きていくということ・それを受け入れる感性を育てる大切さ”、また、メディアによって発信される作品を享受するばかりでなく、自ら意思をもって選択していくことの大事さについては、「すくらむ」の理念ともども大いに共感できる。
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