世田谷区内最大規模となる太陽光発電事業が小田急電鉄でスタート、 2月28日から運用開始に先だち、前日、内覧会が開かれた。
場所は小田急線喜多見駅北口、喜多見電車基地内「小田急電鉄喜多見発電所 」。基地内3建物の屋上に2,588枚の太陽光パネル
(太陽電池モジュール)がずらりと並べられ圧巻の光景を呈していた。ここで発電される電力は一般家庭の年間消費電力量の約160軒分にあたる579,000kWh、全て東京電力に販売される、という計画だ。

太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの、再生可能エネルギー源のなかでも、太陽光は「大規模な土地改変を伴わない」として国の環境影響評価
(アセスメント)の対象外となっている。加えて2012年7月に、発電した電気を初年度
(2012年)1kWhあたり42円で20年間買い取る好条件に設定した「固定価格買い取り制度」が始められたこともあって、急拡大。
しかし最近になって、認定を受けながらパネルの価格が下がるのを待って発電に着手しない業者が相次いだことから、経済産業省は固定価格買い取り制度の在り方を見直す方向に動き出した。
こうしたなかで小田急電鉄では、経営課題として掲げる“環境に配慮した取り組みの推進”として今回事業の検討に着手。
他に使用用途のない未利用の箇所で、比較的広大・短期間でパネル設置が可能、また日射を遮るものが周囲にない場所を、ということで選定した結果、喜多見電車基地内の、検車区・総合事務所・研修センターの3建物の屋上が浮上。
東京電力の電線へ繋げる部分についての費用は自己負担となることから、東京電力の電線までの距離も近く、かかる費用を低く抑えられる立地だったことが決め手となった。
工事は昨年9月下旬から開始、パネル設置自体は1カ月半程で完了したという。
検車区・総合事務所の屋上に設置されたパネルは、一般的な家屋で見かける三角屋根に敷き詰めるイメージとは異なり、雨水やほこりがパネル上に溜って発電に影響を与えないようにとの意図から多少の角度
(2度、10度)はあるものの、風圧や吹き上げの影響を抑えるよう、また年間日射量の計算も考慮、平地状形で設置
(写真)された。
すぐそばを小田急の車両が通過する建物屋上では、太陽光パネルと小田急車両の並ぶ様がここならではの図画を描いていた。