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![]() 「えてして女性作家は甘いと言われる。どうしても現実を引き離して書くことができない。だが芙美子はちがう。きちんと現実を直視して突き放して書くことができる。それが魅力だ」 今「新宿歴史博物館」で開催中の「生誕110年に寄せて-林芙美子文学の魅力-」展の記念講演会で、北九州市立文学館今川英子館長は林芙美子(写真)の魅力をそう評価した。 林芙美子が80年前のフランスで交流のあった考古学者森本六爾の日記に芙美子のことを、『世話になってるからと食事を振る舞ってくれる』と書かれてある。ところが全く同日の芙美子の日記には『くねくねして気持ち悪い男』『学者には欠陥者が多い』とある。今川館長はこの“突き放し”に「男女の日記を紐解くとはまた複雑な心境」と言葉し会場内に笑いを誘った。 また、1949年に収録されたNHKの番組「朝の訪問」より林氏の対談の様子、肉声を聞くと一層その感を強くする。それまでのイメージ以上にさっぱりとした語り口調で、「人間は泣くだけ泣かなきゃいい人間にならない」「秀才でも人生の辛いのを知らないのはクズみたいなもん」と歯に衣を着せない。自分の考えや感じたことをまっすぐに伝えていく人なのだと感じさせる。 林芙美子は1903年、福岡の生まれ。代表作といえば『放浪記』。女優の故・森光子が1961年の初演から歴史的大記録となる上演2000回超、驚異のロングラン公演を成 し遂げた作品。原型は20歳にして書き始めた『歌日記』である。 |
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