特別展「江戸時代の多摩を掘る」


 内容趣旨 戦国から江戸時代へ、そして江戸から明治時代へ。時代の変換を、遺跡と遺物から辿ります。

 江戸時代の研究は、豊富な文献史料を中心に進められ、大きな成果をあげてきた。しかし近年その一方で、江戸時代の遺跡の発掘と研究が大きく進捗し、文献史料だけからは得られない数多くの知見がもたらされていることも事実である。江戸時代の町場や村の姿、人びとの暮らしの様子など、遺跡の発掘と研究によって具体像を帯びてきた側面は少なくない。今や、江戸時代の研究といえども、発掘の成果を抜きにしては語れない段階にある。
 その主役はもちろん大都市江戸である。しかし、その近郊に位置する多摩地域にも江戸時代遺跡は眠っている。最近、府中市では、徳川家康造営の御殿跡が発見されて大きな注目を浴びた。戦国の世から江戸時代へと移り変わる、激動の時代を語るうえで欠くことのできない遺跡である。宿場や一里塚、旗本の陣屋跡や新田開発の村、梵鐘の鋳造や陶器の生産など、さまざまな遺跡も、多摩地域では発掘されている。多摩ニュータウン一帯で数多く発掘されている炭焼き窯は、江戸への供給を主目的にした特産品の炭を生産した遺跡で、まさに大都市近郊という多摩地域のポジションにふさわしい営みを物語ってくれる。 また、ヨーロッパ製の陶磁器という、珍しい遺物も出土している。江戸時代の末期、開国に伴い生糸生産が盛んになる。そんな時代を象徴する遺物といえよう。

 本展示会では、こうした多彩な遺跡を紹介する。発掘された遺跡と遺物から、多摩地域における歴史の転換をながめ、人びとの営みを復元してみたい。
     
矢立て(府中宿跡出土)  ベネチア製レースガラス器
(八王子城跡出土)
土人形の招き猫
(府中宿跡出土)  
会 期 2013年3月10日(日)
開館時間

9時〜17時(入場は16時まで)

会 場 府中市郷土の森博物館本館1階特別展示室(〒183-0026府中市南町6−32)
観覧料 無料。但し、博物館入場料が別途必要
展示構成 1 近世の幕開け
八王子城跡(八王子市)・府中御殿跡(府中市)・浅野長政隠 棲の地(府中市)
2 府中宿と甲州街道
府中宿跡(府中市)・万願寺一里塚(日野市
3 支配拠点と村落
陣屋:島屋敷遺跡(三鷹市)村落:多摩ニュータウン105 遺跡(八王子市)・多摩ニュ ータウン243・244遺跡(町田市)/武蔵野の井戸:新町の大井戸(青梅市)
4 地場産業
炭焼き:多摩ニュータウン遺跡群(八王子市ほか)/瓦:カワラ峯瓦窯跡(町田市)/陶器:河辺窯跡(青梅市)・天平窯跡(青梅市)/鋳物:加藤鋳物師工房跡(八王子市)・関鋳物師工房跡(国立市)/石臼:伊奈石採掘場跡(あきる野市)
5 祈りとまじない
胞衣:多摩ニュータウン105遺跡(八王子市)/鍋を被った人骨:府中宿跡(府中市)/地鎮め:多摩ニュータウン105遺跡(八王子市)/礫石経:多摩ニュータウン435遺跡(八王子市)・三千人塚 (府中市)/廻国納経:西蔵院経塚(府中市)/塚:多摩ニュータウン474遺跡(稲城市)/火除け:府中宿跡(府中市)
6 維新の足音
焔硝火薬製造:鈴木遺跡(小平市)/生糸商:八木下要右衛門屋敷跡(八王子市)/ヨーロッパ陶磁器:多摩ニュータウン105遺跡他(八王子市 )・府中宿跡(府中市)
展示資料数 65件約600点
問合せ TEL.042-368-7921 FAX.042-360-8217

















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