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特別展「江戸時代の多摩を掘る」
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内容趣旨 戦国から江戸時代へ、そして江戸から明治時代へ。時代の変換を、遺跡と遺物から辿ります。
江戸時代の研究は、豊富な文献史料を中心に進められ、大きな成果をあげてきた。しかし近年その一方で、江戸時代の遺跡の発掘と研究が大きく進捗し、文献史料だけからは得られない数多くの知見がもたらされていることも事実である。江戸時代の町場や村の姿、人びとの暮らしの様子など、遺跡の発掘と研究によって具体像を帯びてきた側面は少なくない。今や、江戸時代の研究といえども、発掘の成果を抜きにしては語れない段階にある。
その主役はもちろん大都市江戸である。しかし、その近郊に位置する多摩地域にも江戸時代遺跡は眠っている。最近、府中市では、徳川家康造営の御殿跡が発見されて大きな注目を浴びた。戦国の世から江戸時代へと移り変わる、激動の時代を語るうえで欠くことのできない遺跡である。宿場や一里塚、旗本の陣屋跡や新田開発の村、梵鐘の鋳造や陶器の生産など、さまざまな遺跡も、多摩地域では発掘されている。多摩ニュータウン一帯で数多く発掘されている炭焼き窯は、江戸への供給を主目的にした特産品の炭を生産した遺跡で、まさに大都市近郊という多摩地域のポジションにふさわしい営みを物語ってくれる。 また、ヨーロッパ製の陶磁器という、珍しい遺物も出土している。江戸時代の末期、開国に伴い生糸生産が盛んになる。そんな時代を象徴する遺物といえよう。
本展示会では、こうした多彩な遺跡を紹介する。発掘された遺跡と遺物から、多摩地域における歴史の転換をながめ、人びとの営みを復元してみたい。 |
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矢立て(府中宿跡出土) |
ベネチア製レースガラス器
(八王子城跡出土) |
土人形の招き猫
(府中宿跡出土) |
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