城山三郎(1927〜2007)は、「落日燃ゆ」「男子の本懐」などの作品で気骨ある日本人の姿を鮮やかに現代に甦らせました。城山作品の原点には、17歳で志願入隊した軍隊での悲惨な体験があります。戦争末期の軍隊の狂気をまのあたりにし、以来、〈人の幸福や志が組織の大義によってそこなわれてはならない〉という強い思いのもと、組織のありかたやリーダーの資質を生涯問い続けました。 城山が世を去ってから3年の歳月が過ぎ去ろうとしています。今その作家生活を振り返ると、「気骨の作家」と呼ばれたこの作家のまなざしが、人びとの暮らしへ実にあたたかく向けられていたことに改めて気付かされます。 本展は、時代と人間を巡る旅を続けた作家・城山三郎の生涯を「昭和の旅人」と位置付け展観するものです。 「衰え知らぬ城山文学」(日経新聞2010年5月1日)⇒ |
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