鉄道友の会が今年の優秀車両に贈る「2009年ブルーリボン賞」に、全席指定制の有料特急として日本初の地下鉄線乗り入れを果たした“青いロマンスカー”「MSE」が選ばれた。小田急車両が「ブルーリボン賞」を受賞するのは、2006年のロマンスカー・VSE以来、通算7度目（1958年SE、1964年NSE、1981年LSE、1988年HiSE、1992年RSE）。
　「MSE」は、地下鉄の車両としていろいろな気配りがある。
　車内はLED 式直接照明の採用や天井高2・3mの空間で落ち着きが感じられる。またモーターに全密閉式、コンプレッサー等各種機器に低騒音型が採用されていることやアルミ車体による車両軽量化で、走行音振動がかなり和らぎ、走行中の音・振動はほとんど気にならない。多目的トイレ、車いす対応型の座席や車いすスペース、全国鉄道で初めてというAED（※）も設置され緊急医療面への対応もある。
　車体はロマンスカー独特の流線型を残しつつカラーはフェルメール・ブルーで地下でも明るさを感じさせる。
　「MSE」はまた０８年に、鉄道関連の国際デザインコンペティション「第10回ブルネル賞・車両部門・奨励賞」と「2008年度グッドデザイン賞」を受賞したことがある。「ビジネス特急、観光特急としての洗練された車両デザインとハイレベルな室内環境に加え、分割が可能な車両構造で、さまざまな運行ニーズにフレキシブルに対応できる柔軟性も兼ね備えている」（ブルネル賞）、「ビジネスと観光という多様な運行形態とユーザーニーズへの対応を可能にしたデザイン性」（グッドデザイン賞）というのが受賞理由だった。
　ブルーリボン賞とは、毎年鉄道友の会（会員約3500人）が、前の年に営業運転を開始した新形式車両の中から、趣味的および利用者側の見地の両面から優秀と認められた鉄道車両を会員の投票により選出するもので、MSEは初の地下鉄乗り入れや青い流線型の車体、インテリアなどが評価され、対象車両18車種の中、有効投票者数の約60％の会員の支持を得た。


「湘南マリン号」に「MSE｣

　江の島・鎌倉への海水浴や観光に便利な特急列車に、ロマンスカー「MSE」がこの夏「湘南マリン号」（グリーン電力運転）として登場。
　区間は成城学園前駅〜片瀬江ノ島間。期間は2009年７月21日（火）〜８月21日（金）の夏休み期間中の平日。８時52分に成城学園前駅を発車、途中新百合ヶ丘、相模大野、大和、藤沢に停車し片瀬江ノ島には10時９分に到着。帰路は16時33分に片瀬江ノ島駅を発車、下りと同駅を途中停車し成城学園前に17時32分到着。
　運転期間中の８月３日（月）から７日（金）の往路では、チーム・マイナス6％（環境省）の協力のもと、冷房時の車内温度を通常より１〜２度高くし乗客のクールビズ体感調査を行なう「クールビズトレイン」もある。