「書籍の仕事−向井潤吉の場合」展

 
「週刊朝日」1934年
 戦後の復興にともない失われていった日本の伝統的民家の姿を、生涯を通じて追い求めた向井潤吉。そんな彼も、若かりし頃は実に幅広いモティーフを描いていました−−それが今回紹介する、彼の書籍の仕事です。

 写真図版が今ほど印刷媒体に普及していなかったこと、またイラストレーターという固有の職業も現在ほど確立されていなかったことから、昭和初 期に活躍した画家の多くは、自らの安定した収入の一助として本の挿絵や装丁の仕事を手がけていました。東郷青児、堂本印象、猪熊弦一郎、小磯良平、宮本三郎−−そして向井潤吉も例外ではなかったのです。

 子供向けのファンタジー溢れる絵本や童話、国内外の小説の挿絵、当時の有名女優を描いた週刊誌の表紙のシリーズ、第二次大戦中に出版された戦争記録集の挿絵…勿諭 その中には、のちの彼の画風を暗示させる日本の古き良き農村の姿もありますが、我々の想像をはるかに超える多彩な世界を彼は描いています。
 また、詩情溢れるリアリズムで貫かれた晩年の画風とは大きく趣を異にするこれらの仕事には、それぞれのモティーフならではの技法が巧みに用いられました。
 これらは今までまとめて紹介されることのなかった向井潤吉の新たな豊かさを 、いっそう明らかにしてくれることでしょ う。

 本展ではこうした書籍の展示に加えて、 彼の従来から知られる伝統的民家を描いた油彩画、その卓越した描写力を惜しむことなく発揮した素描をあわせて展示することにより、彼の画家としての広範な仕事を余すことなく紹介します。

開催日  2008年8月2日(土)〜11月30日(日)
休館日  月曜日(ただし休日と重なった場合は翌日)
開館時間  午前10時〜午後6時(入場は閉館の30分前まで)
会 場  世田谷美術館分館向井潤吉アトリエ館(世田谷区弦巻2-5-1)
観覧料  一般1000(800)円、大高生・65歳以上800(640)円、中小生・障害者[一般]1500(400)※( )内は20名以上の団体料金。
アクセス  東急田園都市線「駒沢大学」駅西口徒歩10分/東急世田谷線「松陰神社前」駅徒歩17分/東急バス(渋05)渋谷〜弦巻宮業所「駒沢中学校」徒歩3分/東急バス(等11)祖師谷折返所〜等々力「駒沢三丁目」徒歩3分/東急バス(渋11)渋谷〜田園調布「駒沢大学駅前」徒歩10分/東急バス(渋12)渋谷〜二子玉川「駒沢大学駅前」徒歩10分
問合せ  世田谷美術館分館向井潤吉アトリエ館TEL.03-5450-9581

















Copyright(c)1999-2008 Mysoft co. ltd. All Rights Reserved.