ルノワール+ルノワール展

画家の父、ピエール=オーギュスト・ルノワ ール。映画監督の息子、ジヤン・ルノワール。
2人が残した作品から、見えない絆が見えてくる。

     
     木島俊介/BunkamUraザ・ミュージアムプロデューサー


 
 ピエールニオーギュストールノワール
〈ぶらんこ〉1876年
 大の映画ファンということではなくても、ジャン・ルノワール監督の映画にうつしだされたシーンのいくつかは大変鮮烈なイメージとして記憶のなかに留められていると思います。
 たとえば、『ピクニック』のなかでパリ娘アンリエットに扮した女優シルヴィア・バタイユが溌刺とブランコを漕ぐシーン。また、『草の上の昼食』で女優カトリーヌ・ルーヴェルがヌードで水浴びするシーン。このようなイメージをジャン・ルノワールが自分の映画のシーンに採り入れたのは、父である印象派の巨匠ピエールニオーギュスト・ルノワールが描きだした絵画のイメージをまざまざと記憶していたからでした。
 その父の作品が、今回出品されている《ぶらんこ》であり、《陽光のなかの裸婦》(両オルセー美術館)であったのです。
 
 今回の展覧会の特徴は、父親の画家オーギュスト・ルノワールの絵画作品と、これから影響を受けて制作された息子の映画監督ジャン・ルノワールの映画のシーンとを並べて展示・投影して、これらを同時に鑑賞しようという、まさに画期的な試みにあります。
 これは実は、一昨年のパリの映画博物館ともいえるシネマテーク・フランセーズで開催されて大評判となり、父ルノワールの絵画はもちろんのこと、息子ルノワールの映画の再ブームをもたらした企画の再現です。
 ジャン監督は、ルキノ・ヴィスコンティ監督やトリュフォー監督が師と仰いで敬愛した人であることからもその魅力は知られることですし、加えてオーギュスト・ルノワールの絵画およそ50点は、パリのオルセー美術館が選び出した作品で、有名な《田舎のダンス》(オルセー美術館)、息子を描いた《ガブリエルとジャン》(オランジュリー美術館)、《狩姿のジャン》(ロサンゼルス・カウンティ美術館)など魅力に溢れた絵画作品が出品されます。

 人物像を中心に、印象派絵画に特徴的な自 然光の効果を巧みに用いて、生きる喜びを明るく表現した。その後一時古典主義に傾倒するものの、晩年は豊かな量感と温かい色調を特徴とする画風を確立する。
 妻アリーヌとの間に、長男ピエール(俳優)、次男ジャン(監督)、三男クロード(陶芸 家)をもうけ、家族は彼の作品において重要なテーマのひとつとなった。
画家の父、ピエール=オーギュスト・ルノワール。   フランス映画界の重鎮
ジヤン・ルノワール 
 パリのモンマルトルに、ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男として生まれる。『ピクニック』『大いなる幻影』『河』『フしンチ・カンカン』など、人間の持つ多様性を包み込む独自の視点で、スタイルにこだわらないスケールの大きな作品を残した。
 後世の映画監督へ大きな影響を与え映画表現の改革者とも位置付けられる。ヌーヴェル・ヴァーグの旗手であるジャン=リュツク・ゴダールやフランソワ・トリュフォーなどは彼を師と仰いだ。 

ルノワール+ルノワール展
期 間 2008年2月2日(土)〜5月6日(火・休) 会期中無休
時 間 10時〜19時(金・土曜日21時まで。4月26日(土)より9時〜21時
会 場 Bunkamuraザ・ミュージアム
入場料 一般\1,400(\1,200)大学・高校生\1,000(\800)中・小学生\700(\500)
※20名以上
その他詳細問合せ TEL.03-6215-4406 TEL.03-3477-9413

















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