新型ロマンスカー、MSE60000系
 成城学園駅」に停車

 来春3月にお目見えする新型ロマンスカー、MSE60000系が去る10月19日、小田急電鉄侃大須賀社長、東京地下鉄侃梅崎社長出席のもと、公開された。
 MSEは「多彩な運行が可能な特急列車」の意味をもつ。 分割・併合しての運転が可能の20mボギー車6輌編成と4輌編成からなり、定員はこれをつないだ10両編成時578名。 外観はフェルメールブルー、先頭車両はVSEの流れを汲んだ流線型。展望席はない。 ロマンスカーとして初めて成城学園前駅に停車する。東京メトロ千代田線、有楽町線に乗り入れる。座席指定特急が地下鉄線内に乗り入れるのは日本で初めて。  【写真】 07年10月19日のMSE。小田急大野工場で。

 千代田線に乗り入れ

 MSEが千代田線、有楽町線に乗り入れることにより、平日の本厚木・唐木田駅方面〜大手町・北千住駅方面間、土休日の北千住駅〜箱根湯元駅間、本厚木〜豊洲・新木場駅間に“小田急ロマンスカー”の直通運転が実現する。
 MSEの地下鉄乗り入れについて大須賀社長は、「1978年3月に千代田線との相互直通運転を開始以来、小田急線からの千代田線利用者は年々増加し、当初7万人だった乗降客が現在では約16万人にもなり、その数は通勤乗客の約4割に達している。」、そこで、「来春2008年3月、千代田線乗り入れ30年、同時に小田急小田原線80周年を迎えるのを記念し、更なる利便性向上をも目ざした」とMSE誕生に至った事情を語った。
 千代田線の停車駅は、表参道、霞ヶ関、大手町駅と終点の北千住駅の4駅。選定理由は「表参道、霞ヶ関、大手町駅は代々木上原経由の定期購入乗降客が多い駅ベスト3であり、また乗り換えの利便性も非常に高い」(梅崎社長)。
 平日は、朝方の本厚木発⇒北千住行き上り列車「メトロさがみ」、夕方の北千住発⇒唐木田行きの下り列車「メトロホームウェイ」、そして夜間の北千住発⇒本厚木行き下り列車「メトロホームウェイ」2本。このうち「メトロホームウェイ」が、「成城を始めとする世田谷の乗客の千代田線利用率が高い」(大須賀社長)ことにより、ロマンスカーとして初めて成城学園前駅に停車する。

 土休日は湾岸方面直接アクセス

 土休日は「メトロさがみ」「メトロホームウェイ」各1本に、日中の北千住⇔箱根湯本間を直通で結ぶ「メトロはこね」2往復が加わる。
 「メトロさがみ」は年間30日程度有楽町線新木場駅まで乗り入れ「ベイリゾート」名で、また夜間は同様に年間30日程度「メトロホームウェイ」が新木場駅始発の「ベイリゾート」名で、それぞれ運行、“ホリデー観光特急”として働く。小田急線成城学園前も停車。メトロでの停車駅は新木場以外に表参道と、再開発により発展著しい豊洲にも停車する。
 特急料金は、東京メトロ部分の200円均一(小田急線と直通のみ)に小田急線の特急料金(乗車距離変動制)が加算された料金。
 MSEの先頭車両はVSEの流れを汲んで流線型。全車両の色彩は、オランダの画家フェルメールの作品にちなんだフェルメールブルー。地下を走ることを意識したこだわりの色だそうで、空の色、水の色、爽やかな空気の色を求めた色調でもある。地球を表わす青はエコロジカルで「人間のDNAの中に最も深く沁みこんだ色」(岡部憲明アーキテクチャーネットワーク代表)という。MSEはこのフェルメールブルーを基調とし、補色関係にあるロマンスカーの伝統色、バーミリオン・オレンジの細いラインが入り、美しい外観だ。
 岡部氏はMSEについて、都心の地下から郊外、箱根へと繋ぐ「社会的に意味のある車両」であり、最も苦労したのはこれまでの地上ロマンスカーにはない、前面の脱出のための大きな貫通扉だという。

 洗練されたお洒落感

 内装にも様々なこだわりがある。天井が高く、広々とした幅を持つ車内。蛍光灯による間接照明、LED式の直接照明。座席は、ビジネスユースを意識しグレーベースのシートに、A4のノート型パソコンが安定して置ける三角型の肘テーブルが付いている。これは、シート前後の連動をなくすため、背後からの振動を気にしないですむよう背面テーブルを見合わせ肘テーブルとしたのだそうだ。同様の配慮から、背もたれはハイバックとなっている。
 また、車椅子やオストメイトの乗客にも安心な多目的トイレの設置などバリアフリーの実現や、アルミ車体による車両軽量化などの環境面への取り組みも今回の特徴だ。
 落着きある暖かい移動空間がまるで動くホテルさながらの心地良さ。洗練されたお洒落感がある。通勤のビジネスマンも、帰途につくOLも、頑張る自分への褒美に、快適な通勤が味わえるのではないか。もちろん、平日のビジネスユースとしてだけでなく、休日のホリデー特急としても大いに期待できそうだ。

 「都心に通うビジネスパーソンの上質な着席移動サービスのみならず、将来の通勤形態の新たな可能性を示す。東京メトロ乗り入れ新たな連携の始まり」と大須賀社長。
 梅崎社長は「力を合わせてよりよいサービスを提供していきたい」と締めくくった。
















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