作『恋の片道切符』

 戦争という題材に触れた作品ではありますが、いわゆる反戦を声高に叫んでいこうと思っているわけではありません。できれば社会派と言われるような作風になることは避け、あくまでこれまで取り組んで来た私達のスタンスから描いていきたいと思っています。しかしかと言ってお茶を濁して終わらせる訳にはいかない、そろそろ何かを叫ぱなくてはならない所まで来ているのではないかと感じています。

 しかし具体的に何をどんな風に叫べばよいのか、その術を知りません。ただ私逢が手探りで手繰り奇せることができるとすれぱ、この体内に麓積し複雑に絡まった糸屑を、唆昧模糊とした思いを、稚拙であっても形にし、それを作品のうねりにできれぱと思いました。それがこの作品のスタートラィンです。

■非日常の中の日常

 THESHAuP00HATは今年で10周年を迎えますが、顧みてもやはり私達の描きたいものは“人間ドラマ”であります。'それも、ごく些細なことに一喜一憂し、不器用で馬鹿正直な愛すべき隣人達の日常。今回はこういった「戦争モノ」という題材ではありますが、根底に流れるものは変わらず日常、言うなれぱ「非日常の中の日常」です。人間の持つ切なさや可笑しさを温かく見つめつつ、ドライな笑いで昇華していく、ひねくれていて真正面の“人間ドラマ”です。

 個性派客演陣を迎えてお送りする男10人の群像劇。今回も新たなTHESHAMP00HATの挑戦です。どうぞご期待ください。
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