「DSG倒壊防止システム」
        耐震工法のコンクールに入選して

 
             NPO法人「日本耐震防災事業団」 理事長 小口悦央

 学生に人気がある神戸の街は賃貸住宅が多く、そこに落し穴があった。
 オーナーは部屋の借り手がつかなければ部屋の改造もするし、リフォームでクロス、照明もオシャレなものに取り替えるが、その逆で入居者が順番待ちの状態で、提示した家賃のままで契約できるのであればリフォームも考えないしまして構造のチェックを行なうなどあり得ない話だ。

 関西大震災では木造アパートの築年数が二十数年経過した建物の多くが壊れ、安い家賃で入居せざるを得ない若者がその犠牲になった。
 事は訴訟問題に発展する。亡くなった青年の遺族が建物所有者を訴えたのだ。無念さがオーナーに矛先を向けたと言えなくもないが、彼が生涯稼ぐ労働賃金を計算し所有者の損害賠償責任とした。
 オーナーは工事会社に構造上の暇庇があった為に事実上倒壊したと原告の主張を建設会社の施工問題で回避しようとし、その意味で自分も被害者なのだと主張したが、裁判は無情にも工事会社の保証期間外であることと、災害は人的なものではなく『不可抗カ』なのだという意見も却下され、損害は所有者がこれを賠償することを要すとの判決が下りた。

 要するに近隣の賃貸共同住宅が軒並み全棟倒れたのであれば不可抗カが成り立つが、その建物のみが倒壊したのならば所有者が管理者責任を負わなければならない。ちなみに遺族(学生)に対し6000万円の金員を平成7年1月17日から完済まで年5分の割合による金員を払え、訴訟費用の3分の2を被告(オーナー)が負担する判決が下された。
 
 この話を冷静に聞き、またその時の対処法を準備しているオーナーの方はどのくらいの割合で居られるのだろうか?

『民法七一七条(交錯工作物責任)一項』
 土地の工作物の設置または保存に瑕疵あるに困りて他人に損害を生じたる時はその工作物の占有者は被害者に対して損害賠償の責に任ず。但し占有者が損害の発生を防止するに必要なる注意をなしたるときはその損害は所有者これを賠償する事を要す。

 建物が倒壊したり建物に起因して損害が発生した場合に、オーナーに対して責任追求する際に、この『工作物責任』はよく用いられる概念である。

 阪神から十年目の今年はNHK、民放とも耐震補強の工法を連日放送している。その流れの背景にあるのは地震予知の呪縛から脱却しようとする動きだ。当たらない予知出来ない技術に国民がNOと言う意見が大半を占めてきた。それにともない減災の為に国民の生命財産を守るには『耐震補強』こそ最大の投資課題と行政も方向転換しはじめた。
 全く同感に思う。兵庫県も遅ればせながら安価で出来る耐震工法のコンクールを行ない既存の住宅の補強工法を募集し二月初めに発表(当日本耐震防災事業団は入選)された。市民として素直にエールを送りたい助成金も五十万円が充当出来るとの事だ。

 今我々は所有の不動産(特に法以前の建築物)の耐震性のチェックは賃貸事業に関わるすべての人に命題を付きつけられている。

       木 造 耐 震 診 断
     耐震プランナー(耐震診断士)が診断します。
    特定非営利活動法人日本耐震防災事業団住環境整備事業本部
        無料ダイヤル0120-59-7221















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