不動産物件に耐震構造明記
来年から、説明責任


 「阪神・淡路大震災」の惨状を経験した“地震大国日本”。建物の耐震補強は極めて重要な問題。にもかかわらず一般的な関心度はいまひとつ。

 そこで9月1日の「防災の日」を前に、この問題の一層の啓蒙をはかろうと、NPO法人「東京いのちのポータルサイト」の耐震補強委員会が、8月22日、開催された。

 場所は、この度2階建て木造の自宅にワイヤープレース工法により耐震補強工事を済ませた平塚市の深田一元さん宅(写真右)。
 参加者は同会会員など40名。地元平塚市で防災まちづくりグループの篠原代表・中橋座長、動的診断が専門の早稲田大学理工学部毎熊教授、「外付け方式の耐震補強金物(DSG)」を開発し宮城県沖の震度6以上の地震でその成果が広く知られたNPO法人日本耐震防災事業団小口理事長、オブザーバーとして前内閣府防災担当企画官で国土交通省都市・地域整備企画室の渋谷室長などの姿もあった。

 同会開催の趣旨は「なぜ耐震補強は進まないのか」。
 内閣府の住宅の耐震化の阻害要因によると「費用労力負担」「技術的知識の不足」「ライフサイクルとの不適合」「意識の低さ」「効果のわかりにくさ」があげられている。
 また、富士常葉大学池田助教授が実施した「倒壊の危険性がある」と診断された世帯対象のアンケート調査で出てきたのは、工法、コスト、事業者などについての情報不足、耐震補強の効果の信頼性、コスト高。
 耐震補強を必要としている世帯で「必要性」の認識が薄いという現状が伺える。

 この日の委員会では、平塚市で防災まちづくりグループが耐震補強のセミナーを年40回も開いたところ「大変良い話を聞いた」と喜んでもらえたものの「人間はいずれ死ぬのだから」と本末転倒の冷や水をかけられたりして施工まで至ったのはたったの2件だったとの報告(中橋座長)もあった。
 各住宅にはその家だけの特徴があるのでその事情に第三者評価が備われば助成はたやすい(渋谷室長)こともあり、ここはさらなる啓蒙とそうした悪要因を改善して地道に実績を積み上げていくことが望まれる。

 こうした中、NPO法人日本耐震防災事業団小口理事長が、来年から不動産物件に耐震構造の有無やその内容の明記が義務付けられることになったことを同委員会外で非公式に披露した。
 結果、賃貸・売買にかかわらず必然的に優良な耐震構造物件が選ばれることになり耐震構造物件の需要増と自然淘汰が生じ、耐震構造の技術向上、連れて世間の信頼も得る“良循環”に転じるという。

 倒壊した建物は火災の元になり、隣家を破壊し、瓦礫が消防・救助活動の妨げになるのも、阪神大震災で体験済み。
 住宅の耐震化は、自分だけの問題ではない。ひとまず耐震診断を受けるだけでも意味があるのではないか。(静岡県のホームページで自分で耐震診断ができるサイトがある。
 アドレスは http://www.taishinnavi.pref.shizuoka.jp/analyze_form.asp
 また、NPO法人日本耐震防災事業団では無料耐震診断を行っている。
■問合せ=TEL.03・3559・7221

















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