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![]() 「特権階級のセクト主義とイデオロギーの演劇に抗し、あくまで一般庶民のための格調ある舞台を創造する。この信念は終生、変わることがない」 これは平成8年に93歳でこの世を去った劇作家、北條秀司が生涯貫いた劇作精神である。今尚、演劇界・映画界・TVのジャンルを超えて北條作品が登場するのは、この庶民に対するあくなき愛情である。オモシロ、オカシク、イトオシイ人間に対する観察力が、どの作品にも色濃く表れている。高いところから見下ろすのではなく、同じ人間の目線で見つめつづけた作家の洞察力は確かで、こんな時代だからこそより強い有効性を感じる。 今回の作品は、昭和36年に東宝劇場で上演された戯曲である。出演者の顔ぶれが面白い。森繁久弥、山田五十鈴、中村勘三郎、三木のり平といった曲者ぞろいである。 この作品はタイトルが示すように狐と狸の馬鹿仕合い。人間の際限ない欲望を喜劇夕ッチで描いた傑作!何度読んでも面白く、森繁、山田さん以外は故人となってしまったが、このメンバーで見てみたいと思ってしまうほど人物が良く描かれている。 ならば、40年経った現代に蘇らせるには?まずは演出家である。ナンセンスな笑いとポップな感覚で現代の演劇シーンをリードするナイロン100℃を主宰するケラリーノ・サンドロヴィッチであれぱ、この作品を見事に調理してくれるに違いない。 あとは役者である。あの名優・怪優に対抗しても始まらない。ここは現代の女形を演じさせればピカイチといわれる篠井英介に山田五十鈴の役をふるしかない。森重久弥の役は奇才ラサール石井。前回「王将」で見事な坂田三吉像を創りあげた板尾創路が中村勘三郎が演じた坊主役。三木のり平の役には扉座の怪優、六角精児。ほか9名のキャスト。 2000年に松尾スズキ演出で話題になった「王将」に次ぐ北條秀司作品第2弾!2004年度の演劇界のイチ押し芝居である。 公演概要⇒ ■作=北條秀司 ■演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ ●東京公演= 2004年 5月29日〜6月6日 下北沢・本多劇場 ●地方公演 =2004年 6月 ■問合せ= トム・プロジェクト株式会社 TEL.03−5371−1153 FAX.03−5371−1159 〒151−0053 東京都渋谷区代々木 2−5−1−903
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