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「KASANE」 作・演出 鐘下辰男 |
【あらすじ】
日本のどこにでもある村。
今から約300年ほど前、与右衛門という百姓の娘・「菊」に、「累」(かさね)という女が憑依(ひょうい)し、村中を混乱させるという事件が起こった。
「累伝説」発祥の地であるこの村に東京からある一団がやって来る。
彼等は女性の演出家をりーダー格とする幾人かの俳優と、脚本家、制作者で構成されていた。
演出家をのぞけばすべてが性の集団だ。彼女を含めた構成メンバーは、その村に3日間宿泊して、芝居の構成をディスカッションする。
演出家の目的は男が作りだした伝説によって隠蔽された「真の累を描き出すこと」であり、それによって「近世から面々と続く虐げられた女性の姿を描き出そうとすること」だった。
民俗社会は、ある忌まわしい事実を、外部の者に隠蔽する努カを試みるのが普通である。
そして事実を変形させた外部向けの伝説を作り出すのである。
伝説では、累という女は、どうしようもない醜婦の障害者として描かれており、その醜さ故に殺害され怨霊となって村人を苦しめたということになっている。彼女はこれを最大の疑惑と考えた。
彼女の疑惑が確信に変わるにしたがって男達の彼女に対する反感は高まるばかりであった。
やがてそれらの対立が、伝説の「累伝説」、つまり村落共同体が一段となって彼女を抹殺し、伝説の中に封じ込めたのではないかという過程と呼応していく。
そして23日。月は半月。菊に累の怨霊が取り悪いたとされている日。
とうとう彼女と男達の対立は臨界点を迎えることに・…。
公演概要⇒
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