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ゴッホの影響を探る:個性主義芸術の誕生
『ヴラマンク・里見勝蔵・佐伯祐三展』
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安田火災東郷青児美術館では、6月15日(土)〜7月25日(木)、「ヴラマンク・里見勝蔵・佐伯祐三展」を開催いたします。
1901年パリ、ラフィット街のベルネーム=ジュヌ画廊で開催された『ゴッホ回顧展』には安田火災の《ひまわり》とひろしま美術館の《ドービニーの庭》を含むゴッホの作品71展が展示されました。
この展覧会を見たヴラマンクは「父よりもゴッホを愛する」と叫び、ゴッホの個性的な作品に深い感動を覚え、その後ヴラマンクはマティス、ドランらとフォーヴィスムに傾倒していきます。
しかし彼が生涯追求したものは、ゴッホのような存在力のある芸術でした。
フォーヴィスムとは、1905年サロン・ドートンヌの一室に、原色をたたきつけた強烈な色彩、比例や調和というこれまでの絵画常識を真っ向から否定する、たくましく野生味にみちている荒々しいタッチの絵画があふれました。これらの絵画はみる人々を驚愕させ、批評家ルイ・ヴォークセルはこれらをフォーヴ(野獣)と評したのです。
フォーヴィスト達はゴッホの示した情熱にあふれたダイナミックな筆触、生命のパトスを表現したような色彩、ゴーギャンの唱えた対象の色とは関係なく自由に選んだ色彩によって画面を構成する「色彩自由の理論」を文字通り実行しました。
「ヴラマンク・里見勝蔵・佐伯祐三展」開催要項
1.各作家のかかわりについて
「父よりゴッホを愛する」と叫んだヴラマンクにとってゴッホはすでに救世主、解放者、父なる人物となっていた。
その後ヴラマンクはドラン、マティスと共にフォーヴィスムに傾倒するものの、生涯を通じて彼の理想とした芸術はゴッホが表現した圧倒的な存在力のある力強い芸術だった。
一方、里見勝蔵は文芸誌『白樺』でゴッホとセザンヌを知り1921年にパリへ行く決意をする。
パリへ到着するや否や、ルーヴル、ルクサンブール美術館などでゴッホやセザンヌを見つめていた。
里見はゴッホが描いた《オーヴェール教会》《村役場》などを写生中ヴラマンクと遭遇する。この運命的な出会いにより二人の交流は生涯続くこととなり、ヴラマンクの指導により「理屈を嫌悪し本能に従い感動を描く」ようになる。
佐伯祐三は、里見が渡仏して2年半後、パリで里見と合流した。里見は佐伯をゴッホの終焉地オーヴェール・シュル・オワーズに住むヴラマンクに紹介した。佐伯作品に影響を与えた作家は、ルノワール、セザンヌ、ヴラマンク、ユトリロなどであるが、最も心の奥底まで侵入した作家はヴラマンクにとってもそうであったようにゴッホであろう。
自分の個性を画面に表出することを追求し悩んでいた佐伯にとってゴッホ作品を見ることは救いであり、制作の原動力であった。
2.構 成
本年はゴッホ生誕150年である。
ゴッホに影響を受けながら個性主義に進んでいった三人の画風の変遷、目指した方向性など残された作品を比較しながらも、結果的にゴッホという偉大な作家へ収束していく1920年代の状況の断面を検証する展覧会である。
又、本展覧会の大きな特徴はゴッホの代表作品である、安田火災東郷青児美術館所蔵作品「ひまわり」を同時に鑑賞できることである。
ヴラマンク、里見、佐伯の油彩作品85点(ヴラマンク19点、里見31点、佐伯35点)をテーマ別に展示することで三人の影響関係を探る。
■会 期=2002年6月15日(土)―7月25日(木) 月曜休館
■会 場=安田火災東郷青児美術館
〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 安田火災海上本社ビル42階
■開館時間=9時30分〜午後5時 *入館は閉館時間の30分前まで
■入 館 料=一般:1,000円(800円)/大学・高校生:600円(500円)
/シルバー〔65才以上〕:800円
*小・中学生は無料 ※( )内は前売及び20名以上の団体料金
■主 催=安田火災東郷青児美術館、朝日新聞社
■本展は8月3日(土)〜9月15日(日) ひろしま美術館へ巡回■
■問合せ=TEL.03-3349−3081安田火災東郷青児美術館
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