「最近の田舎暮らしの動向について」

 去る4月 20日 (土)、東京都生協連会館にて四谷に本部をおく 「ふるさと情報舘」 が主催して 「田舎暮らしセミナー」 が行なわれた。

 セミナーでは、ふるさと情報館の佐藤彰啓氏が 「最近の田舎暮らしの動向について」 述べた後、定年退職後田舎に移り住んでいる体験者2人、福島県田島町に住まいの岡村健氏および長野県富士見町に住まいの井村泰三氏により、スライドを使った実生活が紹介された。
                          ※写真は 「ふるさと会員」 用、田園暮し体験館。

「最近の田舎暮らしの動向について」


 最近定年退職後または早期退職をした後、今までとはちがった田舎に、夫婦で移住する(定住型移住)人たちが増加している。
 移住する理由は人それぞれであるが、一般的には自然のなかで精神的なゆとりをもちたいため、趣味を深めたいため、今まで出来なかったことをしたいため等である。
 特に男性の場合は、今まで仕事一筋で生きていたため、畑仕事や米づくりをしたいため、趣味の楽器を隣近所に気兼ねすることなく思いっきり吹きたいため、等の理由が多い。
 一方女性は、もともと自然が好きが多く、夫と共にいる時間を大切にと思う様である。若者の離婚率の増加及び家庭内別居が増加している時代に羨ましいことである。

 スライドや体験者では、広々とした大地の中、きれいな空気をすいながら自然と共存している。都会の中の住宅で暮らしているうちに、自然の中で暮らすことに対する憧れがつのり、それを実現しようと移住したような感じである。畑を耕し、種を植え、果実したら、広々とした庭にテーブルと椅子を置いて自然の風を感じながらそれを食べる…
 自分で作ったものを自分で食べる喜びが、都会暮らしではなかなか味わえないことであろう。

 あるいは日本人の主食であるお米づくりに挑戦する人もいる。稲の苗を買ってきて米づくりに挑戦をするものの、そう簡単にできるのなら農家は苦労しないことをしみじみと感じているようだ。
 苗植えの間隔、水遣り、農薬の使い方等、自分のポリシー通りにものを作るには、仕事の時とは違う自分との葛藤を強いられるようである。
 この様な状況を見かねてか、農家の方々が色々アドバイスしてくれるようである。専門家のアドバイスを素直に聞きいれることができれば、いつかは実がなるようだ。
 また、これがきっかけとなり農作物等を産地値でわけてくれたり、更に知人・友人の分も産地直送してくれるという。
 例えば米150俵、旬の取れたて野菜100kg等、まさに経済効果が発生している。このお返しとして、パソコンやインターネット等を教えてあげたり、農協や事務所等に経営のノウハウを伝授したり等の交流をしている。

 一方ご婦人方は、パスタやドリア等のイタリア料理やスペイン料理を教えたり、ステンドグラスやパッチワーク等を教えたりするなどしている。中には評判が評判をうみ料理教室や洋裁教室を開催したり、まさに文化交流を行なっている。
 しかしこの反面、蝮やヘビ、野生の猿等、都会では見られない自然界の動物たちに出会う。はじめは困惑するが、そのうち慣れてくるという。また、水道工事や電気工事はとにかく遅く、故障してすぐに直してもらえると思ってはいけないようである。

 そして気になる家計についてだが、土地・家屋・引越し代金等は蓄えから、日常の生活費は、厚生年金と企業年金でまかなうのが一般的である。
 問題は臨時出費をどうするかだ。出費で最もかかるのは健康保険及び税金関係(地方税・固定資産税)であり、車や生命保険、損害保険等は整理して、どうしても必要なものだけ残すこと。そして、季節的・地域的にかかるのが暖房費としての電気代。家庭によって出費は様々だか、一般的には、洋服代はかからないし、食費は安い、もしくは自給自足しているし、借金をして家を買わなければ年金 20万くらいで暮らせるとのことである。ただし中には奥様が通販で欲しいものを買っているので生活費は以前と全く変らないという方もいる。
 いずれにしても、無駄を省いて借金をしないで移ることである。

 田舎に行くことにより、移った人たちは夢の実現、精神的なゆとり、自然とのふれあい、地域活動のやりがい等を感じることができる一方、受け入れる側にとっては、経済交流、文化交流を通じての経済効果が発生する等の効果が期待できる。
 ただ気にかかることは、健康なうちは十分楽しめるが、怪我や病気をしたり、体力等が衰えていき、自由に動けなくなった時どうするのかである。田舎ゆえに医療設備は不十分であろう。老人ホームにかかる費用は都会より安いにしてもそこで一生を終えるのだろうか。

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